Q.運転開始から30年以上たつ古い原発は国内にどれぐらいある? - さちが丘
2011/07/12 (Tue) 12:35:24
A.19基が30年以上運転
原発54基のうち、19基が30年以上運転しています。
日本の原子力発電所の運転期間は法律で定められているわけではありません。建設当初は30年程度の運転を前提にしていましたが、実際にはもっと長く運転を続けています。
福島第一原発には「1号機」から「6号機」まで6基の原子炉があります。最も古い1号機は40年、2号機から6号機も30年以上運転しています。日本原子力発電の「敦賀原発1号機」や、関西電力の「美浜原発1号機」も40年以上運転しています。
日本原子力産業協会によると、2015年には、日本の原発54基の半分以上が30年以上運転している古い原発になります。
運転期間を延ばす引き金になったのは米国です。米国では原子力規制委員会(NRC)が、原発の建設時に事業者に対して40年の運転期間を認可しています。その期間を20年間延長した60年の長期運転も認めるようになりました。原産協会によると、米国の原発104基のうち7基が40年以上運転中です。
日本も米国の動きなどを参考に、2005年に原子力安全・保安院が60年間の運転を想定した対策をまとめました。
長期運転が進んだ背景には、1979年の米スリーマイル島原発事故、86年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故によって、反原発運動が広がり、新しい原発の建設ができなくなったことなどがあります。
原発の設備は高温、高圧、放射線にさらされます。長く使っていると部品や材料が劣化して、配管にヒビが入ったりするなどの問題が起きます。このため、13か月ごとに定期検査を行い、部品を交換したり、補修などをしたりしています。政府、事業者などは、こうした対策で「安全性は保たれる」としてきました。
しかし、今回の大震災では、東北電力の「女川原発」などの比較的新しい原発は重大事故にならなかったことから、古い原発の安全性への不安が起きています。原発の高齢化が今回の事故にどう影響したかを国が示すよう求める自治体もあります。古い原発の扱いが、これからの焦点の一つです。
(編集委員 知野恵子)
(2011年6月17日 読売新聞)
原発54基のうち、19基が30年以上運転しています。
日本の原子力発電所の運転期間は法律で定められているわけではありません。建設当初は30年程度の運転を前提にしていましたが、実際にはもっと長く運転を続けています。
福島第一原発には「1号機」から「6号機」まで6基の原子炉があります。最も古い1号機は40年、2号機から6号機も30年以上運転しています。日本原子力発電の「敦賀原発1号機」や、関西電力の「美浜原発1号機」も40年以上運転しています。
日本原子力産業協会によると、2015年には、日本の原発54基の半分以上が30年以上運転している古い原発になります。
運転期間を延ばす引き金になったのは米国です。米国では原子力規制委員会(NRC)が、原発の建設時に事業者に対して40年の運転期間を認可しています。その期間を20年間延長した60年の長期運転も認めるようになりました。原産協会によると、米国の原発104基のうち7基が40年以上運転中です。
日本も米国の動きなどを参考に、2005年に原子力安全・保安院が60年間の運転を想定した対策をまとめました。
長期運転が進んだ背景には、1979年の米スリーマイル島原発事故、86年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故によって、反原発運動が広がり、新しい原発の建設ができなくなったことなどがあります。
原発の設備は高温、高圧、放射線にさらされます。長く使っていると部品や材料が劣化して、配管にヒビが入ったりするなどの問題が起きます。このため、13か月ごとに定期検査を行い、部品を交換したり、補修などをしたりしています。政府、事業者などは、こうした対策で「安全性は保たれる」としてきました。
しかし、今回の大震災では、東北電力の「女川原発」などの比較的新しい原発は重大事故にならなかったことから、古い原発の安全性への不安が起きています。原発の高齢化が今回の事故にどう影響したかを国が示すよう求める自治体もあります。古い原発の扱いが、これからの焦点の一つです。
(編集委員 知野恵子)
(2011年6月17日 読売新聞)